2011年1月11日火曜日
第2回 13年間の山小屋生活
僕が山小屋でバイトを始めるようになったのは11年前、インクノットさんにお世話になったのがきっかけだったとお話しましたけど、ちょっと、これまでに働かせていただいた山小屋を書き出してみることにしました。小屋名の後に、(時期/期間/ロケーション/標高/最盛期の宿泊人数/最盛期の小屋番含むバイト人数)等の情報を書いておきます。
■これまで働いてきた山小屋たち
・2004年 ロッジくろよん(夏/一ヶ月/北アルプス・黒部湖畔/1300m/50人/3人)
・2005年 乗鞍肩の小屋(夏/一ヶ月/北アルプス・乗鞍岳山頂直下/2700m/120人/7人)
・2006年 太郎平小屋 (夏/二ヶ月/北アルプス・太郎平/2300m/300人/22人)
・2007年(春)鳳凰小屋 (GW/10日/南アルプス・地蔵岳直下の樹林帯/2400m/40人/5人)
・2007年(夏) 双六小屋(夏/一ヶ月半/北アルプス・双六岳直下/2300m/250人/20人)
・2008年 (春)鳳凰小屋(GW/10日)
・2008年(夏)太郎平小屋(夏/二ヶ月)
・2009年(春)鳳凰小屋(GW/10日)
・2009年(夏)黒部五郎小舎(夏/一ヶ月/北アルプス・黒部五郎岳直下/2400m/130人/8人)
・2010年(夏)高天ヶ原山荘 (夏/二ヶ月/北アルプス・水晶岳直下/2100m/120人/4人)
・2011年 (春)鳳凰小屋(GW/10日)
・2011年(夏)黒部五郎小舎(夏/一ヶ月/北アルプス・黒部五郎岳直下/2400m/130人/8人)
・2012年(夏) 高天ヶ原山荘 (夏/一ヶ月/北アルプス・水晶岳直下/2100m/60人/4人)
・2013年(夏) 高天ヶ原山荘 (夏/一ヶ月/北アルプス・水晶岳直下/2100m/60人/4人)
・2014年(夏) 高天ヶ原山荘 (夏/一ヶ月/北アルプス・水晶岳直下/2100m/60人/4人)
・2015年(夏) 高天ヶ原山荘 (夏/二ヶ月/北アルプス・水晶岳直下/2100m/60人/4人)
ざっと、こんな感じになります。基本的に、夏に北アルプスの黒部源流域で1ー2ヶ月。GWに南アルプスの鳳凰小屋で、小屋開けの手伝いという感じです。といっても、最近はGWはお休みしていますが。ロケーションや収容規模などは様々で、ま、それだから12年も飽きないで通っているのかもしれません。小屋によって仕事の仕方も様々で、食事のメニューが凝っていて仕込みが大変な小屋、登山道整備がきつ~い小屋、大工仕事の多い小屋等、それぞれ微妙に違いがあります。
あと、太郎平小屋、双六小屋等、大きな小屋になると、受付や売店専門のバイト、厨房専門のバイトと、仕事を分けている小屋もありますが、小さな小屋では、各人が接客から調理まで、なんでもこなせないといけなくなります。女性は普通、外での力仕事はしないとおもっていただいて結構ですが、ヘリコプターで食糧や物資の荷揚げをした際には、女性でもお米の袋(30キロ程度)を運ばないといけないこともありますので、力仕事に自信のない方は念のため、あらかじめ小屋に電話で確認しておいたほうがいいかもしれません。
■アルプスの携帯事情
山で生活をするに当たって、ところで、携帯電話とか通じるの?っていう心配をされる方って結構、多いんじゃないでしょうか?インクノットの小屋の情報にも携帯の項目があります。 人によっては、定期的に誰かと連絡したいっていう人もおられるでしょうし、通話はだめでもメールくらい出来たほうがいいな~という方も多いかと思います。主婦の方で、一夏だけ家族を残して、山小屋で働かれている方も過去に何人かいましたし。
これらの小屋のうち、携帯電話が普通に繋がるのはロッジくろよんと乗鞍肩の小屋(くろよんは黒部湖湖畔の小屋ですし、乗鞍は国立の天文観測所等が山頂近くにあるため)で、当時、モバイルパソコンとデータ通信カードを持ち込んでネットに接続していました(まだ、データ定額とかない頃です)。他の小屋は裏山に登るとか場所によっては特定の携帯キャリアのみ繋がるという感じですが、さすがにここ6年通っている北アルプスでも最秘境といわれる高天ヶ原山荘ではまったくの音信不通になってしまいます(笑)。ここらへんの携帯事情は、結構変化していて、例えば、数年前から太郎平小屋では、場所によっては小屋内で、ドコモが通じるようになった代わりに、それまでかろうじて裏山でつながっていたAUが繋がらなりました。なので、これも要確認事項でしょう。総じて、ドコモ有利なので、夏の間だけ、SIMフリー端末と、 格安SIMで乗り切るのもいいかと思います。
バイト中に下界と連絡をとる必要がある場合は通信事情を山小屋に直接再確認し、衛星電話の有無も聞いておくといいでしょう。ただ、繋がるといっても、そのポイントまで、往復で30分かかるとかだと、なかなか仕事中に抜け出すのは難しいかもです。そうした場合、休み時間や、夜、消灯後にヘッドランプを着けて、電話しに行く人もいます。まだまだ、一部の人気スポット(表銀座や立山周辺等)以外では、アルプスの山奥での連絡手段は小屋間の無線での通信に頼っているのが実情です。あ、そうそう、山で繋がる携帯電話の情報はここに詳しくのっています。)
しかし、せっかくの山小屋生活。一ヶ月くらい、携帯ともネットとも清く決別するのもいいものです。秘境といっても、ほとんどの小屋で衛星のテレビ放送は見られますから、下界に帰ったら浦島太郎ってこともありません。高天ヶ原山荘はさすがに、発電機もなく、明かりもランプだけという山小屋なので、ラジオで天気予報を聞くくらいしかできませんが。
■十小屋十色
なんだか、アルプスの携帯電波事情の話に脱線してしまいましたが・・これまで、7つの山小屋で働いてみて、嫌な経験というのはほぼ皆無です、実に快適に楽しい時間を過ごせていただいてきたと感謝しています。最初の頃は、趣味の風景写真を撮ることも考えて、基本的に毎年違う山小屋に行くようにしていたのですが(同じ小屋のほうが、やることも毎年同じなので仕事的には楽なのですが・・)ここ6年ほどは、黒部五郎と高天原をいったりきたりで、最近の3年は高天ヶ原に固定。やはり、休み時間に近場でフライフィッシングを楽しめるのと、目の前の雄大な水晶岳、綺麗な森があるので、写真を撮る楽しみがあるのが大きいです。
ブナの森に囲まれた小屋、朝日/夕日がめちゃめちゃ綺麗な稜線の小屋、温泉に入れる小屋・・・その小屋のロケーションによって愉しみも様々なので、色々な小屋で働いてみるのも楽しいし、同じ小屋に通って、その土地の理解を深めていくというのも、また楽しいものです。
さて、今回はこれくらいして、次回はもうすこし突っ込んだ実際の山小屋での仕事の話をしてみましょう。
*今日の写真は今年の夏、高天ヶ原山荘の食堂でのスナップ。はい、見たまんまケーキの写真です。高天ヶ原は毎年、小屋番と中期バイト2人、短期バイト2人の計4人で切り盛りしていているのですが、この年(2010年)はドイツ人女性、ステファニーが忙しい時期(海の日~お盆まで)手伝いに来てくれました。これはスタッフの誕生日に、ステファニーが作ってくれた手作り誕生日ケーキ。ド迫力の大きさです。私は下界では甘い物はほとんど食べないのですが、山ではよく食べます。なにせ、繁盛期は朝3時から消灯まで、ずーっと働きっぱなし、立ちっぱなしで、すごい重労働になりますから、甘い物にパワーをもらわないと!
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ロッジくろよん 懐かしい・・・。
返信削除7つの小屋で働いて、嫌な経験は皆無というのはさすがと言うか・・・。