2011年2月1日火曜日

第4回 中期バイトの勧め



■ 山の診療所

 ところで、みなさん、山にも病院というか、診療所があるって、知っていますでしょうか? 昭文社の山地図なんかにも、診療所のある山小屋には、その旨記載されてますけど、泊まっているお客さんでも、知らない方、結構多いんです。やっている期間はたいていは、以前の海の日(7月20日)頃からお盆過ぎまでと、最繁期だけですが。たとえば、黒部源流部だと、太郎平小屋には、日本医大の診療所が、双六小屋には、富山大学医学部、三俣山荘は、岡山大学と香川大学の医学部が共同で診療所を開設しています。縦走の起点となる、大きめの小屋に設置されていることが多いようです。

 どこの診療所も、各医科大学の山岳部OBを中心に学生や看護師の方々が交代で山に登って来てくれるのですが、最近は、どこの大学でも山岳部は人が集まらず・・・運営には苦労されているようです。実際、診療所に誰もいない期間も結構あって、ちょっと問題になっています。あくまでボランティアでお願いしていることなので、来てくれる人がいなければどうしようもないのですが・・・   利用される方は、軽い怪我(捻挫のテーピングや虫刺され等)で利用される場合が多いのですが、高山病で熱が下がらず、診療所に泊まっていく方もいます(重症の場合はヘリコプターを呼んで、即入院ですが、医師がいないと、ここらへんの判断が難しいのですよね)。山小屋の従業員が、この診療所にお世話になることも多いのですが、こういった診療所のある大きな小屋でないかぎりは、山小屋には薬関係といっても、薬箱一個あるだけだったりするので、常備薬がある場合はもちろん、抗生物質と風邪薬くらいはもっていったほうが無難です。手を包丁で切ったりすると、なにせ、毎日の洗物の量が半端じゃないので、なかなか傷口がふさがらないで化膿してしまったり、朝晩の寒さで、うっかり風邪をひいてしまうこともあるので。





■山小屋での仕事



  さて、本題の山小屋バイトの話に戻りましょう。実際にバイトって、どんな仕事をしるんでしょうか? 小屋にもよるのですが、 たとえば、ここ6年通っている高天ヶ原山荘での、一日のスケジュールを例としてあげると、



3:30 起床

3:40 〜4:20 朝食準備

4:20〜4:50 配膳

5:00〜 朝食

5:30〜 食器下げ



5:30〜 6:00 食器洗い

6:15〜6:40 スタッフ食事準備

6:50 スタッフ朝食

7:15~8:00  休憩 8:00〜8:15 ミーティング

8:15〜10:00 スタッフ全員にて、清掃

10:00〜10:30 休憩(お茶)

11:00〜13:00 食堂・売店の切り盛り

13:00〜15:00 休憩

15:00〜16:30 夕食準備

16:30〜16:50  配膳

17:00〜18:15 夕食(2回分、盛り付け、配膳の繰り返し)

18:15〜19:00 食器洗い

19:00〜19:30 スタッフ夕食

19:45解散

20:00 消灯、就寝


 7月下旬〜お盆過ぎまでの最繁期の一日のスケジュールは、ざっと、こんな感じです。休憩は日によって交代で、午後に1~2時間です。休憩時間は散歩に行ったり、本を読んだり、人それぞれですけど、たいていは、忙しい時は、早朝から働きっぱなしなので、昼寝してしまうことが多いですかね、なにせ朝早いので。じゃないと連日の激務で体がもちません。でも、ずっとこのスケジュールというわけではなくて、中期以上の期間のバイトであれば、ローテーションを組んで、何日かごとに少し長めの休憩をもらえたり、朝も交代で遅く起きてきたりできる仕組みになっています。でも、前回お話したように、小さい小屋で、ぎりぎりの人数でやっているところだと、あまり休めないところもあるかも。とはいっても登山客の少ない時期は、一日遊んでるようなものなのですがw

■ 中期バイトの勧め
  いかがでしょう? 自由になる時間って、思ったより少なくないですか? なので、山でゆっくり過ごしたいっていう方は、時間が取れれば、中期以上でバイトに入ったほうがいいと思います。短期の1ヶ月というのは、いちばん忙しいときに、だーーっと働いて、はい終わりっていう感じですので(それでも、いい経験にはなりますが)、せっかく山でのんびり過ごせる良い機会なのに、勿体無いと思うんですよね。山小屋は、ちょっと登山シーズンはずれれば、お客さんも一桁なんてことも。昼間はカメラを持ってのんびりお散歩か、川でイワナ釣りでもっていうのが、バイトにとっては一番幸せな時間なのです。  


■山小屋の電気


 今日の写真は、温泉とランプの宿で有名な、高天原山荘の灯油のランプ。ランプの宿といっても、さすがに、夜は作業がしずらいので、太陽電池で充電した無線用の蓄電池を利用して、厨房だけは一個の裸電球で照明できるようにしてあったのですが、数年前に、常連のお爺さん(定年前は中学の理科の先生だった方)が、LED電球を厨房3つ付けてくれて、さらに、明るく作業しやすくなりました。   高天ヶ原は一切発電機をまわさない特殊な小屋ですが、普通はどこの小屋も灯油で動かす大型の発電機を持っていて、朝、食事の準備のために、起床後すぐ発電機をまわし、お客さんが出発していなくなるくらいまでか、掃除に掃除機を使う場合は掃除が終わるまでコンセントが使えます。発電機は、昼間は基本的に止めておいて、夕方3時頃に再度つけて、消灯の九時までは、回しっぱなしといった感じでしょうか。なので、携帯などを充電したい場合は、基本、発電機が動いている間しかできませんので、ご注意あれ。でも、たいていの小屋は、無線機器等のバックアップ用として、バッテリーに充電もしているので、どうしてもというときは、小屋番さんにこっそり聞いてみてください。以下の記事も参考に・・・




山小屋と電子機器

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