2011年5月14日土曜日
第9回 山小屋への携行品(登山装備編)
今日の写真は、小屋開けのために、GWに鳳凰小屋に小屋入りした翌日の凍りついた窓ガラス。この朝はとても気温が低く、-6度しかありませんでした。御覧のように窓に綺麗な結晶が。鳳凰小屋とはもう長いお付き合いになるのですが、最近は仕事の都合で、小屋開けのお手伝いに行けなくて残念です。今までに5回小屋開けの手伝にいったかな。
GWだけのバイトを募集している鳳凰小屋みたいなところは少なく、たいていは小屋番さんと、その年の長期のスタッフで小屋開けをします。鳳凰小屋は、一階の談話室に薪をくべる炬燵があって、オーナーの細田さんが、ゴミと一緒に燃やしている薪を常に補充しているので、いつもぽっかぽかの状態。なにせ他に暖房が一切ないので、この炬燵にみんなが暖まりに来ます。そして毎晩大宴会に・・・
実は、この部屋、オーナーはじめ、スタッフの寝室も兼ねていたりするので、あまり連日盛り上がると、逆にスタッフは疲れがたまって来たりします(笑)でも、こういうスタッフもお客さんも一緒になって話ができる空間って、他の山小屋ではないので、鳳凰小屋の一番の特色になっています。山小屋のお客さんは年齢的にはだいたい60代の方が一番多いのですが、この団塊の世代が山にこれない年齢になってしまうと、だいぶお客さん減ってしまうのかな。
それでも一時期の山ガールブームで若い人もだいぶ増えてきているので、山小屋の客層も、あと数年すると、だいぶ変わるかもしれないですね。テント泊の登山者は、どこも年々増えていて、最近は小屋泊まりのお客と数が逆転することもシーズン中何回かあったりします。かくゆう私も個人での山行きは、テント泊が多いのですが・・・
■ 小屋入りの際の装備
GWの鳳凰小屋のような雪の多い時期に入山する場合は、アイゼン、ピッケルは必携ですし、靴もそれなりの物じゃないといけませんが、夏の短期、中期のバイトなら通常の縦走登山用の装備で十分だと思います。
*登山靴
靴は、ゴアテックス・ブーティーの防水性のある一般的な登山靴なら、特に問題ないと思います。靴に関しては、一旦小屋入りしてしまえば、普段は外では長靴で作業&生活することになりますので、小屋でどうこうより、バイトの後、縦走して歩いたりするなら、そのコースに合わせた靴を選べばいいかと思います。最近はトレールランニング用の靴も進化していますから、無理に重い、ごっつい登山靴を選ばなくてもいいかと思います。僕はここ数年はトレールランニング用のミドルカットの靴を使っています。ただソールがちょっと柔らかいぶん、あまり重いザックを背負うと足元がちょっと安定しにくいです。なので、荷物は極力軽くするようにしています。最近は登山客の縦走のスタイルも変わってきて、テント装備でも、足元はトレランシューズっていう若い人も多くなりました。個人的には装備が15キロ前後までなら、トレランシューズでOKかと思っています。
で、先程話した、作業用の長靴のことなのですが、履きなれるとこれが非常にに歩きやすく、例えば、太郎平小屋から折立へ下山するのにも、長靴とごつい登山靴を比べると、長靴のほうがタイムを短縮できたりします(あくまで、履き慣れてていて、足の裏が強くなっていればの話ですが・・・)。底が柔らかいので滑りやすい岩や木の根っ子なんかにもがっちりグリップしますし、山での生活には欠かせないアイテムです。この便利な長靴、たいていは、小屋に古いのがいくつかあって、これを使わせてもらうのですが、サイズが限られるので、荷物に余裕があれば、マイ長靴を持っていくというのもありだと思います。日本野鳥の会のオリジナル長靴なんかは、小さくおりたたみもできて、デザインもおしゃれでいいですよ。あ、それと長靴はゴム素材なので、多少サイズが合わなくてもはけてしまうのですが、これがかえって危険で、サイズの小さいものを無理して履いていると、足の爪が壊死してしまいます。僕もこれで二回ほど、足の親指の爪をはがしていますので、サイズには要注意です。
*雨具
これも、ゴアテックスの雨具が定番です。普段つかっている物があればそれで結構なのですが、男性スタッフは雨の中での登山道整備等、外仕事がありますので、高級なゴアテックスハードシェルだけしかなかったりすると、作業でボロボロになる可能性もあるので、そこらへんを考慮して、別に安い物や、使い古しの雨具などを持っていくといいと思います。モンベルの一番安いやつとかで十分です。作業用ということなら、ワークマンとかの安い物でもいいかと。小屋の人は、たいてい、古くなってボロボロになった雨具を作業用にしています。あと、ゴアテックスのスパッツもあったほうがいいでしょう。個人的には、雨具のフードをかぶるのが好きではない(音がきこえないし、なんとなく窮屈)ので、ゴアテックスの帽子も必ず持っていきます。これは銘柄的にはアウトドア・リサーチの物がつばが広くて、使いやすくてお勧めです。雨の日に下山・・・なんってこともあるし、小屋回りでも雨の日に使えるので、登山用の軽い雨傘があっても便利です。下山日が雨だったりすると街中をカッパ着て歩くことになりますしね。
*ザック
荷物の量は人によってそれぞれですが、だいたいみんな、60-70リットル位のザックで来ています。はっきりいって、山での1ー2ヶ月なんて、あっという間なので、あまり余計な物は持っていかないのが一番です。なので、50リットルくらいのザックで済ませたいところなのですが、どうしても、こだわりたい物(カメラやタブレットとか)で、ついつい大荷物になってしまいます。私は最近は、グレゴリーの70リットルのザックをつかっていますが、結構すかすか状態で使ってます。だんだん、小屋生活に、どうしても必要な物がわかってくるので、年々、荷物はコンパクトになってきています。昔は75リットルのザックがぱんぱんな状態でした。もし、新調するなら、ザックと登山靴だけは専門メーカーの物を買うことをお勧めします。専門メーカーというのは、ザックなら、ザックだけを、デザイン&製造しているところ(グレゴリーとか、オスプレーなど・・・)です。一番体にダイレクトに接して、負荷のかかる道具ですから、しっかりしたものを選びましょう。個人的にはグレゴリーのザックが一番背負いやすいのですが。こればっかりは体型にもよるので、実際にお店にいって背負ってみないとわかりませんね。
■ちょっと裏技
初めての小屋では難しいかもしれませんが、カメラなんかも一眼レフ&交換レンズ一式となると、それだけでかなりの重さになります。他にも、人によっては、嗜好品のタバコとかお酒なんかも、かさばりますね。この手の物は、小屋によっては、ヘリの荷揚げの時に一緒に上げてくれることがあります。小屋入りの前に、事務所にダンボールで送っておき、ヘリコプターで荷揚げする際に、一緒にあげてもらうという方法です。何度もバイトに来ている常連さんなんかは、わざわざ担いで上がらないで、こうしている人が多いです。小屋というか、オーナーさんによって、段ボール一個だけならOKとか、お酒はダメとか、事情が違うので、事前に問い合わせてみるといいです。といっても、小屋入りから、最初のヘリの荷揚げまでの期間に使いたい物はやはり担いでいくことになります。そうそう、北アルプスの小屋では、系列にもよりますが、たとえば、太郎グループだと、夕食時に、ビールでも、酎ハイでも、炭酸飲料でも、お菓子でもなにか一品、好きな物を選べます。
あと、従業員用のお菓子をダンボールでまとめてあげている小屋もありますし、ここらへんも気になるなら事前に問い合わせてみるといいでしょう。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿